サイバー攻撃のニュースで、なぜ食べ物や水の備蓄が呼びかけられるのでしょうか。

2026年10月、フランスのスーパーでは冷蔵設備が攻撃され、食品を廃棄する店が出ました。

日本でも2026年7月、ニチレイへの攻撃後に冷蔵倉庫の入出庫や冷凍食品の出荷へ影響が出ました。

注文や決済、配送が止まると、家が無事でも「いつものように買える」とは限らなくなり、日々の買い物にも困ることがあります。

2026年10月22日、英国政府は家庭に3日分の備えを促す案内を公表しました。

日本でも必要なのか、何を用意すればよいのか。

 

買い物に行けば何とかなる、と思っていた毎日を少し見直すニュースとして、私も気になりました。

英国の呼びかけと日本で実際に起きたことを確かめながら、家にあるものから始める備えを考えてみましょう。

英国が求めた3日分の備蓄

英国政府が2026年10月22日に発表した案内は、電気、水道、電話、インターネットなどが一時的に使えなくなる場合に備えるものです。

3日分の水や常温保存できる食品を家に置くことなどを呼びかけています。

ただし、3日後に必ず復旧する、という意味ではありません。

自宅で必要なものを用意して過ごせれば、支援する人が、より助けの必要な人に対応しやすくなるという説明なんですね。

 

英国のストリーティング国防相は、同日のITVの報道で、企業へのサイバー攻撃により生活必需品の供給に支障が出る場合や、スーパーの決済が止まる場合にも言及しています。

同報道では、特定の出来事を念頭に置いた呼びかけではないとも説明していました。

国が備蓄を呼びかけると、政府は何かを知っているのでは、と身構えてしまいます。

けれど、政府の発表にあるのは、3年間にわたる啓発活動の案内です。

政府は、家庭向けの備えの案内は2024年5月から公表しており、助言の多くは今回も変わっていないと説明しています。

3日分は家庭に用意してほしい量、3年間は取り組みを続ける期間です。

差し迫った特定の日の食料不足を予告した、とまでは読めません。

「何かが始まるから急いで買い占める」という受け止め方より、数日間いつものサービスを使えなかったらどうするか、と考えたいです。

常温の食品と水を棚にまとめ、家庭で取り出せる備蓄を確認するイメージ

地震なら家や道路の被害を思い浮かべますが、通信の障害は見た目ではわからないこともあります。

売り場に商品が並んでいても会計ができない、商品はあっても受注を処理できない。

会計ができない日や、注文したものが届かない日もあると考えると、食べ物と水を家に置く理由もわかりますよね。

冷蔵庫を狙われたフランスのスーパー

冷蔵庫なら、電気が来ていれば冷やし続けてくれる。

そう思っていた私には、食品を守る設備をネット越しに触られることが、いちばん身近で怖く感じます。

フランスの情報セキュリティ機関CERT-FRは、2026年10月12日に冷蔵設備の遠隔制御器への侵害を警告しました。

スーパーなどで使う、温度や運転を離れた場所から管理する装置が対象です。

警報では、霜を取り除く運転の時間帯を含め、設定をすべて点検するよう求めています。

家庭のスマート冷蔵庫が一斉に止まった、という話ではありません。

スーパーグループ「U」の責任者は、攻撃後の発信で、約2,000店舗のうち80店に影響があったと説明しています。

多くの店は対応が間に合ったものの、低温での保管を守れなかった店では、影響した商品を売り場から外して廃棄したとのこと。

商品が店に届いていても、安全に売れる状態を失えば、その日のご飯にはできない。

家の冷蔵庫をネットにつないでいない人も、買い足し先の冷蔵ケースまでは自分で守れないんですね。

 

では、なぜ冷やす装置をネットにつなぐのか。

U側は、昼も夜も遠くから温度を見守り、異常があればすぐに対応するためにつないでいると説明しています。

食品を傷ませないために使っていた装置が、今回は攻撃される対象にもなってしまいました。

つながっていることがすべて悪い、とも言い切れません。

ただ、私たちが買う食品の安全は、売り場で見える鮮度や値札だけでは確かめきれないところで支えられています。

 

CERT-FRが対象に挙げた制御器のメーカーDanfossは、2025年10月の公式資料で、旧製品のサービス終了や交換を案内していました。

CERT-FRも今回、サポートが終わり修正が提供されない機器は、初期化しても弱点が残り、再び侵入される可能性が高いと警告しています。

機械としてまだ動くことと、ネットにつないで安全に使えることは、同じではないんです。

これだけで、被害を受けた店が更新を怠っていたと決めつけることはできません。

それでも、家ではいつもどおり電気が使えるのに、いつもの店で食品を買えない、という困り方は想像できますよね。

日本で起きた冷凍食品と配送の停止

ニチレイの2026年7月15日の第2報では、サーバへのサイバー攻撃を確認したと説明しています。

同社は7月13日、顧客データの保護を優先し、グループで使うシステムを遮断しました。

その措置に伴い、ニチレイロジグループ各社の冷蔵倉庫の入出庫や、ニチレイフーズの冷凍食品出荷へ影響が出ました。

被害を広げないためにシステムを切る、その対応によっても食品の出入りに支障が出る。

会社が守るために止めた場合でも、受け取る側は、頼んでいたものが予定どおり届かない日を過ごすことになります。

7月24日には受発注制限を解除し、全拠点が通常稼働へ移行しました。

 

しかも、食品の物流は、袋や箱に書かれたメーカーだけで完結しません。

ニチレイロジの事業紹介では、メーカーや商社に加え、卸、量販店、外食、ネット通販などへ物流の機能を提供すると説明しています。

ニチレイの商品を買っていない家庭も、届ける途中で同グループの倉庫や配送を使う食品を買っている場合があるんです。

 

アサヒグループでは2025年9月29日の攻撃後、受注・出荷のシステムが停止し、手作業での対応が続きました。

2026年2月18日の公式発表では、電子受発注の再開を経て、配送にかかる日数を含む物流業務全体は同年2月までに正常化したと説明しています。

 

2025年10月には、アスクルのシステム障害により、配送を委託する無印良品ネットストアでも受注・出荷が止まりました。

無印良品を運営する良品計画は当時、自社の感染はなく、店舗向け物流にも影響しないと説明しています。

こちらも過去の停止事例ですが、自分が使うお店に問題がなくても、委託先の障害で届かなくなることがあるんです。

自宅にスマート家電がなくても、企業側のシステム障害は買い物に関わってくるんですね。

配送が遅れる日にも使える、食品や水、紙類、袋の手元の予備のイメージ

2026年のIPA「情報セキュリティ10大脅威」でも、組織向けの上位に、データを使えなくして身代金を要求するランサム攻撃や、取引先・委託先を狙う攻撃が挙がっています。

これは、近く日本の食料がなくなるという予報ではありません。

 

日本政府の大規模インフラ障害ガイダンス(2025年7月・2ページ)にも、通信障害によるカード・キャッシュレス決済の利用不可、貨物輸送や宅配の遅延が想定例として載っています。

原因が地震でも攻撃でも、家では「今日の夕食を買えない」「頼んだ日用品が届かない」と困る場合があるんですね。

だから備えも、補充が遅れて困るものを手元に置くことから始められると思います。

3日分で足りる?我が家の備え

英国が示した数字だけで、日本のどの家庭にも同じ備蓄量が合うと決める必要はありません。

内閣府の案内では、最低3日間、できれば1週間過ごせる食料や物資を用意するよう勧めています。

住む地域や家族の事情に合わせ、自治体の案内も見ておきましょう。

食物アレルギーなどで食事に配慮が必要な人には、農林水産省が少なくとも2週間分の食品を勧めています。

食物アレルギー対応食品などは災害時に手に入りにくいため、普段から食べられるものを用意しておきたいですね。

普段の料理で食べて、使った分を買い足す。

その食品を非常時にも食べるなら、加熱や水が必要かどうかは別に確かめておきましょう。

買えない日に困らない備え。食品・飲む水・充電・ラジオ・紙の連絡先・現金を確認する図解

まず、次の3つを家で確かめてみてください。

  • 食事と水:加熱しなくても食べられる主食とおかず、飲む水があるか。
  • 情報と連絡:スマホの充電、電池式ラジオ、紙に控えた連絡先と集合場所を用意できるか。
  • 支払いと補充:少額紙幣や小銭があるか。食品と日用品は、まだ届いていない注文を数えず、手元に何日分あるか。

現金があっても、お店が営業できるとは限りません。

モバイルバッテリーで充電できても、回線や基地局が止まれば電話やネットは使えない場合があります。

 

たとえば冷蔵庫に食品がたくさんあっても、停電中に同じように保存できるとは限りませんよね。

家で食品を冷やせても、店や倉庫で問題が起きれば、使った分を買い足せなくなることがあります。

いつもの冷凍食品に加えて、棚から取り出してそのまま食べられる主食とおかずを置く。

それなら、家で料理ができる日に限らず、買い足し先が困っている日にも家族へ1食を出せます。

お米を何kg買ったかだけでなく、炊飯器や水を使えない日の1食も、別に考えておきたいところ。

家族の非常食を普段食べながら補う方法では、主食とおかず、使う水や道具まで一緒に確認できます。

日用品は、いつもの消費量と手元の残りから補充する目安を決めておくと、残りがゼロになってから注文することも減らせそうですね。

家が危険な場合や避難が必要な場合は、備蓄を使うためにとどまらず、安全の確保を優先してください。

買い足す前に比べたい備蓄品4つ

食品、水、ラジオ、モバイルバッテリーを、家にあるものと比べながら選んでみましょう。

4点すべてを買いそろえる必要はありません。

私なら、最初に家の食品と電池の棚を見ます。

使えるものが見つかれば、その分の予算を本当に足りない備えへ回せますから。

スマホの充電と電池式ラジオ、紙の連絡先を一緒に確かめるイメージ

食品は家族が食べられる量と原材料を、水は家族が持ち上げて棚から取り出せる容器の大きさを、機器は家にある電池や端子との相性を比べましょう。

候補 役立つ場面 買う前の確認
ご飯入り缶詰 加熱せず主食と具を食べる 味・量・原材料が合うか
長期保存水 飲む水を家に置く 家族の量と運べる重さ
携帯ラジオ スマホの通信と別に放送を聞く 家で受信できるか・単3電池
モバイルバッテリー スマホの電池切れに備える USB-C端子と必要な充電量

温めずに食べられるご飯入り缶詰

ご飯と牛丼の具が一緒に入った、常温で食べられる缶詰です。

吉野家公式の缶飯案内でも、玄米と具を組み合わせた商品として紹介されています。

お湯を沸かしたり、炊飯したりせずに出せるので、調理のための電気や水を使えない1食に向いていますね。

ただ、普段のお店の牛丼と同じ食感や量を想像して、いきなり箱買いするのは待ちたいです。

家族が温めずに食べられるか、1缶で足りるかを普段の昼食で試すところから。

 

原材料やアレルギー表示も照合し、合わない家族の分は別の食品を選びましょう。

6缶セットなら、家族3人が1缶ずつ使うと2回分です。

ご飯とおかずを別々に用意するのが大変な人なら、両方が入った1缶で食事を出せるこの商品も、候補に入れてみてください。

 

 

 

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7年保存できる飲料水

7年保存水の2L×6本を選んだ場合、合計12Lの飲料水になります。

長期保存用の水を置いておきたい家庭の候補ですが、これ1箱で家族の3日分になるわけではありません。

農林水産省の案内に沿い、飲料・調理用の水を1人1日約3Lとして数えると、4人×3日で36Lになります。

この12L箱なら計算上3箱ですが、家にある水も含めて不足分を出してくださいね。

洗顔、トイレ、入浴などに使う生活用水は、この量とは別に考えます。

保存水の量を確かめたうえで、断水が長引いたときの補助も考えたい方は、家族の人数で選ぶ災害用の携帯浄水器5選を参考にしてみてください。浄水器を用意しても、飲み水の備蓄は減らさずに備えておきたいですね。

 

普段買うペットボトルの水を、期限内に飲んで補う方法でもかまいません。

入れ替えの負担を減らしたい人は、製造からの保存期間だけでなく、届く商品の残りの賞味期限と置き場所を見て選びましょう。

水の箱は重いので、ひとりで運ぶなら箱を持つか、ボトルを分けて出すかまで考えておきたいですね。

2Lボトルを持って注ぐのが大変なら、小さいボトルを組み合わせる方法もあります。

期限だけでなく、家族が自分で取り出して飲めるかも、選ぶ目安になりますね。

 

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乾電池で使える携帯ラジオ

単3形乾電池2本で使える、FM・AM対応の小型ラジオです。

メーカーの仕様で、電池の種類と受信時の持続時間を確認できます。

スマホでニュースを見る方法とは別に、放送を聞く手段を持ちたい人の候補の1つです。

スマホの電池を家族との連絡に使うために残し、ニュースなどの情報はラジオで確認する使い方ですね。

ただし放送側の状況や受信環境に左右されるため、必ず情報が入るという保証ではありません。

 

届いた日に家の中で選局し、聞こえる場所を探すところまで試してみてください。

家に使えるラジオがあるなら、まず電池と動作を確認するだけでも備えになります。

単3電池をほかの道具でも使う家庭なら、種類をそろえた予備を管理しやすいのも利点です。

必要な本数と使える電池は、それぞれの説明書で確かめておきましょう。

 

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ケーブル内蔵モバイルバッテリー

Anker Nano Power Bankは、容量10,000mAh、USB-Cケーブル内蔵のモバイルバッテリーです。

メーカーの製品案内で、対応機器や入出力を確かめられます。

スマホの電池切れに備えたいけれど、家電を動かす大きな電源までは必要ないという人に向いた製品といえるでしょう。

内蔵ケーブルなら、合う機器では充電のたびに別のケーブルを探す手間を減らせます。

その端子が手持ちのスマホに合うかを、先に確認しましょう。

古いLightning端子などの機器では、別の対応ケーブル等が必要になります。

 

表示された容量すべてをスマホの充電に使えたり、その数字だけで充電回数が決まったりするわけではありません。

実際に何回充電できるかは、機種や電池の状態、使用条件で変わりますね。

購入後は充電した状態で保管し、説明書に沿って残量と状態を確認する。

届いたら、家族もつなげるか、いつものスマホで1度試しておきたいですね。

 

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英国のニュースを見て、急に家じゅうの備えが足りなく感じた人もいるかもしれません。

でも、普段食べるものや使っている道具が、すでに備えになっていることもあります。

今日の買い物でいつもの食品を少し足し、次の休日に1食分を試してみる。

買えない日にも、いつもの味を家で食べられると助かりますよね。