災害用の携帯浄水器どれがいい?家族の人数で選ぶおすすめ5選
水道の蛇口をひねっても、何も出てこない。
そんな朝が来たとき、家族4人ぶんの飲み水を、いったい何日もたせられるでしょうか。
押し入れのペットボトルを数えてみると、思っていたより少なかった、という家も多いはずです。
給水車が来ると聞いても、子どもを連れて何時間も列に並ぶのは、正直かなりしんどいですよね。
しかも、もらった水はポリタンクで家まで運ばないといけません。
そうした断水への備えとして、携帯浄水器をひとつ持っておく、という方法があります。
とはいえ、ストロー式やボトル式、吊るして使う大きなものまで種類はさまざまで、どれを選べばいいのか迷ってしまう人も多いと思います。
ここでは、家族の人数と、近くで手に入りそうな水から、災害のときに頼れる1本の選び方を見ていきましょう。
浄水器があると断水のときに何が助かるのかは、こちらの記事でも確かめられます。
断水につき給水車に並んでます。途中で水切れのため給水に帰ってしまった。40分待追加…
— Kazunari Miyamichi (@K_Miyamichi) 2024年1月2日
断水はどれくらい続く?能登半島地震では最大約13.7万戸が断水した
2024年1月1日の能登半島地震では、6つの県で最大約13.7万戸が断水しました(国土交通省の資料より)。
被害の大きかった輪島市と珠洲市では、水道の本管(地域へ水を送る太い管)が直るまでに2024年5月末までかかり、地区によってはその後も断水が残りました。
年明けに止まった水が戻るまで、およそ5か月です。
さらに、本管が直っても、家の中の水道管が壊れていれば蛇口から水は出ません。
家ごとの修理はそのあとになるので、実際に水が使えるようになるまで、もっと時間がかかった家庭もありました。

国が呼びかけている水の備蓄は、1人1日およそ3リットル(飲み水と調理用)を、最低3日分、できれば1週間分です(農林水産省)。
4人家族なら、3日分で36リットル、1週間分なら84リットルになります。
2リットルのペットボトルに直すと、1週間分で42本。

これだけの量を家に置いておくのは、マンション住まいだとなかなか難しいですよね。
そして能登のように断水が月単位で続けば、1週間分を備えていた家でも、どこかで水が足りなくなります。
そのとき頼りになるのが給水車ですが、能登では飲み水はなんとか確保できても、手洗いや体を拭く水などの生活用水が大きく足りなかったことは、国土交通省の検証でも指摘されているんです。
給水車の水を運ぶ10リットルのポリタンクは、水を満たすとおよそ10キロの重さ。
お年寄りや小さな子どもを抱えた家では、それを何度も運ぶこと自体が大きな負担だったはずです。
そう考えると、ペットボトルの備蓄が尽きたあとに、身近な水を飲める水に変える手段をもっておくと、備蓄が減っていく不安はかなり軽くなります。
実際、珠洲市ではため池の水を浄水装置で処理して、給水車で配る取り組みも行われました。
携帯浄水器は、その浄水装置を、ひとつの家庭で使えるくらいのサイズに縮めたような道具です。
まだ断水中の我が家
ほぼ毎日80Lくらい汲みに行っているのであると便利リスト飲み水、携帯トイレは大前提として…
・給水バッグ
→畳めるものは省スペース。我が家は20Lの灯油のポリタンクを使っているので嵩張るし一個が重い…女性が運ぶことも考えると10L程度のものもいくつかあったほうが良い— さち🦈@8y👧+7y👦 (@sa_chi222) 2024年1月21日
携帯浄水器で飲める水になるもの・ならないもの
まず知っておきたいのは、携帯浄水器で飲み水に変えられる水は、思っているより限られているということ。
多くの携帯浄水器は、目に見えないほど細かい穴のあいた「中空糸膜(ちゅうくうしまく)」というフィルターで、水の中の汚れや菌をこし取るしくみになっています。
穴の大きさは0.1〜0.2マイクロメートルほどで、1ミリの1万分の1〜1万分の2くらいの細かさです。

この細かさで取りのぞけるのは、主に次の3つ。
- 大腸菌などの細菌
- クリプトスポリジウムなどの原虫(お腹をこわす小さな寄生虫)
- 泥や砂などのにごり
一方で、この細かさでは取りのぞけないものも、はっきりしています。
- ウイルス(ノロウイルスなど。膜の穴より小さいものが多い)
- 海水の塩分
- 油や燃料、農薬、洗剤などの化学物質
- 重金属
アメリカの疾病対策センター(CDC)も、この程度の穴のフィルターは細菌や原虫を取りのぞくものの、ウイルスは取りのぞけないと説明しています。
ウイルスが心配な水は、浄水器を通したあとに1分間しっかり沸騰させると安心できますね。
なかでも、お風呂の残り湯やプールの水を飲み水にしようとする場合は、特に気をつけてください。
残り湯には皮脂や入浴剤、プールには消毒用の薬剤などが混ざっていて、ふつうの携帯浄水器は、こうした化学物質を取りのぞくようには作られていません。
自治体の防災の手引きでも、残り湯はトイレを流す水などの生活用水に回すよう案内されています。
また、油が浮いている水や、冠水した道路にたまった水のように燃料や薬品が混じっていそうな水は、浄水器を通しても、煮沸しても安全にはなりません。
こうした水には手を出さず、配給される水を待つほうが確実でしょう。
反対に、浄水器がいちばん力を発揮するのは、川や池など、魚がすめるような淡水です。
ただし井戸の水は、ふだん飲んでいる井戸でも、地震や水害のあとは水質が確認されるまで飲み水にしないよう自治体が呼びかけています(東京都など)。
携帯浄水器は「身近な川や池の水を、とりあえず飲める状態に近づける道具」くらいに考えておくと、どの水を通すかで迷わずにすみます。

水備蓄でボトル水の他に浄水器を用意して安心じゃない。説明よく読んだ方がいい。私の持ってるのは有名どころのばかりだけど、ウイルスは対応難しいし、原虫確認できない物もある。
飲用するなら煮沸用に火の備蓄、消毒薬剤備蓄も必須。水ない時にお腹壊したら悲惨どころか命に関わる。 #備蓄 https://t.co/a9HSCBk2uX— ツナグ (@kazenojidai2024) 2026年8月17日
災害用の携帯浄水器は「家族の人数」と「通したい水」で選ぶ
アウトドア向けのランキングを見ると、軽さや小ささが上位の決め手になっていることが多いですよね。
ただ、家族を守るための備えとして選ぶなら、軽さや小ささより先に見ておきたいことが4つあります。
家族ぶんの水を作れるか、フィルターで何リットル作れるか、ウイルスをどうするか、そして手入れのしやすさです。
ポイント1:家族ぶんを作れるタイプか
ストロー式は、水に直接さして吸うだけなので手軽ですが、飲めるのはその場の1人だけです。
家族4人で1日12リットルを用意するなら、水を「ためて作れる」ボトル式や、袋に水を入れて吊るすだけの重力式のほうが向いています。
重力式は、袋を吊るしておくあいだに水がたまっていくので、家族ぶんの水をまとめて作れるんです。
ポイント2:フィルターで何リットル作れるか
フィルターが寿命をむかえるまでに作れる水の量は、350リットルほどのものもあれば、メーカーが10万ガロン(約38万リットル)と表示しているものまであって、同じ携帯浄水器でも別物と言っていいほど違います。
ただし、にごった水ほど早く目づまりするので、表示どおりの量はあくまで目安と考えておきましょう。
ポイント3:ウイルスまで心配するかどうか
ふつうの携帯浄水器ではウイルスまでは取りのぞけないので、そこをどう補うかは家によって変わってきます。
カセットコンロで煮沸できる家なら、浄水器と煮沸の組み合わせで十分に備えられるでしょう。
赤ちゃんやお年寄りがいて特に心配な家は、「ピュリファイアー」と呼ばれる、ウイルスまで取りのぞける高性能タイプを候補に入れてもいいかもしれません(今回の5つには入っていません)。
ポイント4:手入れと交換がしやすいか
流れが悪くなったときに、逆向きに水を押し出して汚れを落とす「逆洗(ぎゃくせん)」ができるものや、交換用のフィルターが手に入りやすいものを選ぶと、長く使えます。
mizu-Q PLUS(ミズキュープラス)のような日本製の浄水器なら、ホームセンターなど国内のお店でも扱いがあるので、実物を手に取って確かめてから選べるのも心強いです。
ここまでのポイントを、今回紹介する5つの浄水器にあてはめて比べると、次のような違いがあります。
| 商品 | タイプ | フィルターの細かさ | 作れる量のめやす | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|---|
| ソーヤー ミニ SP128 | ストロー・パウチ・ペットボトル装着 | 0.1μm | 最大10万ガロン(メーカー表示) | 1本で長く使いたい |
| カタダイン ビーフリー 1.0L | ボトル式 | 0.1μm+活性炭 | 約1,000L | 持ち出し袋に入れる1本目 |
| mizu-Q PLUS | ペットボトル装着 | 0.1μm+活性炭 | 約350L(水道水の場合) | 日本製で手軽に備えたい |
| ライフストロー パーソナル | ストロー式 | 0.2μm | 約4,000L | 家族1人ひとりに持たせる |
| カタダイン グラビティ ビーフリー 6L | 重力式(吊るす) | 0.1μm | 約1,000L | 家族ぶんをまとめて作る |
※作れる量は水質によって変わる目安です。
※どの商品も、ウイルスと、油・農薬・重金属などの化学物質は取りのぞけません(mizu-Q PLUSとビーフリーに入っている活性炭は、においや味を良くするためのものです)。
災害時に頼れる携帯浄水器おすすめ5選
家族の備えとして選びやすい携帯浄水器を、5つ順番に紹介していきます。
1本で長く使いたい家、日本製で手軽に使いたい家、家族ぶんをまとめて作りたい家と、選ぶ理由がそれぞれ違うので、自分の家に近いものを探してみてください。
ソーヤー ミニ SP128|1本で長く使える定番
ソーヤー ミニは、アウトドア好きのあいだでは定番といってもいい、アメリカ生まれの小さな浄水器です。
0.1マイクロメートルの中空糸膜で細菌や原虫をこし取り、メーカーは最大10万ガロン(約38万リットル)までろ過できると表示しています。
ストローのように吸うほか、付属のパウチを押して水を出したり、市販のペットボトルに取りつけたりと、使い方を場面で変えられるのが便利なところです。
流れが悪くなったら、付属の注射器のような道具で逆向きに水を通せば、汚れを押し出せます。
重さはメーカー表示で2オンス(約57グラム)ほどなので、持ち出し袋に入れても負担になりません。
人気があるぶん模倣品も出回っているので、正規品の表記がある店で選ぶと安心です。
|
|
カタダイン ビーフリー 1.0L|持ち出し袋に入れる最初の1本
カタダイン ビーフリーは、スイス生まれのカタダインが作る、やわらかいボトルとフィルターが一体になった浄水器です。
いま売られているのは、フィルターに活性炭を足して水の味やにおいを良くした「ビーフリーAC」という型になります。
ボトルに水をくんでキャップを閉めれば、そのまま飲めるので、使い方に迷わないところがいちばんの良さだと思います。
フィルターの細かさは0.1マイクロメートルで、1分間に最大2リットルほどと、流れが速いのも特徴です。
飲み終わったボトルは小さく丸められるので、かさばりません。
フィルターが寿命をむかえるまでに作れる量は約1,000リットルが目安で、交換用のフィルターも販売されています。
はじめて浄水器を買う家なら、まずこの1本を持ち出し袋に入れておく、という考え方もアリっちゃアリです。
|
|
mizu-Q PLUS|日本製でペットボトルにつけるだけ
mizu-Q PLUS(ミズキュープラス)は、日本で作られている、ペットボトルの口に取りつけて使うタイプの携帯浄水器です。
0.1マイクロメートルの中空糸膜に、においやカビくささを取る活性炭を組み合わせているので、飲んだときの味も気にしたい人に向いています。
水道水なら約350リットルまでろ過でき、目づまりしたらカートリッジを交換して使い続けられるのもうれしいところです。
使える水は、水道水か、魚がすめるような淡水です。
説明書が日本語で書かれているので、家族の誰が使うことになっても、手順を読み違えにくいのは心強いです。
|
|
ライフストロー パーソナル|家族1人に1本ずつ持たせる
ライフストロー パーソナルは、水に直接さして吸うだけの、いちばんシンプルなストロー式の浄水器です。
フィルターの細かさは0.2マイクロメートルで、約4,000リットルまでろ過でき、重さは50グラムもありません。
ただ、その場で吸うだけなので、水をためて家族で分けることはできません。
その代わり、家族それぞれの持ち出し袋やランドセルに1本ずつ入れておく、という使い方に向いているタイプです。
はぐれてしまったときにも、その子が自分で水を飲める手段をもっている、と思えるだけで、親としてはずいぶん気持ちが楽になるのではないでしょうか。
|
|
カタダイン グラビティ ビーフリー 6L|吊るすだけで家族ぶんを作る
カタダイン グラビティ ビーフリーは、6リットルの袋に水を入れて高いところに吊るしておくだけで、重力で水がろ過されていく大きめの浄水器です。
押したり吸ったりする必要がないので、力の弱い子どもやお年寄りでも、無理なく水を作れます。
流れる量は1分間に最大2リットルほどで、6リットルの袋なら、満タンにすれば4人家族のおよそ半日ぶんの飲み水と調理の水になります。
まとめて作れるぶん水をくみに行く回数も減らせるので、断水が長引いたときほど助かるはずです。
家で過ごす「在宅避難」を考えている家庭には、特に向いているタイプだと思います。
|
|
買ったら一度は使っておきたい…浄水器の練習と保管のコツ
携帯浄水器は、買って押し入れにしまった時点で安心してしまいがちです。
でも、いざ断水したその日に初めて箱を開けると、組み立て方がわからずに焦ってしまうこともあります。

私がすすめたいのは、買ったら一度、家族で実際に使ってみることです。
- 水道水で一度ろ過してみる(流れる速さを体で覚える)
- 子どもにも吸い方・押し方をやってもらう
- 逆洗のやり方を、説明書を見ながら一度ためす
もうひとつ、つい後回しにしがちですが、浄水器はしまっておく場所にも気をつけたい道具です。
最初に紹介したソーヤー ミニのメーカーのように、一度ぬらしたフィルターは凍らせてはいけないと注意しているメーカーもあります。
中に残った水が凍ると膜が傷み、菌が通り抜けるおそれがあるためで、凍ったかもしれないときは交換するよう案内されています。
冬の車の中や、寒い物置に置きっぱなしにするのは避けたほうがよさそうです。
直射日光の当たらない、涼しくて乾いた場所にしまっておきましょう。
また、浄水器を買ったからといって、ペットボトルの備蓄を減らしてよいわけではありません。
最初の数日はペットボトルで乗り切り、それが心細くなってきたころに浄水器の出番が来る、という順番で考えておくと無理がないと思います。
断水するとトイレも流せなくなるので、水の備えを見直すついでに、トイレの備えも確かめておいてください。
今回の断水で気づいた事
お風呂の残り湯は、翌日まで残した方が良い
今回は19時過ぎにから断水だったので入浴前でした
飲料水は常備してあったので不安は無かったのですが、トイレにかなりの水を使う事に改めて驚きましたお風呂の残り湯は生活用水に使えば飲料水の節約につながります#断水#備蓄品
— ジキル&ハイド🇯🇵🛵⛴️✈️🍜🍻🎣🅱️ (@c7OOQxnLRhvb6Xj) 2026年9月25日
水の心配をひとつ減らしておくために
災害のときに水が止まると、困るのは飲み水だけではありません。
ごはんを作る水、手を洗う水、体を拭く水と、ふだん何も考えずに使っている水のありがたさを、そのとき初めて思い知らされます。

携帯浄水器は、そのすべてを解決してくれる道具ではありません。
それでも、ペットボトルが残り少なくなっていく夜に、「まだ水を作る手段がある」と思えるかどうかは、家族を守る親にとって大きな違いになるはずです。
家族の人数と、近くで手に入りそうな水を思い浮かべながら、自分の家に合う1本を選んでみてください。
能登で水が戻るまで5か月かかったことを思えば、ペットボトルの備蓄の隣に携帯浄水器を1本置いておくのは、家族を守るためにいま打てる、いちばん手軽な一手です。
水の備え全体を見直したい人は、こちらもあわせて読んでみてください。





