「最低限3日、できれば私は1週間と申し上げたい」。

2026年10月26日、細野豪志防災担当大臣がフジテレビのネット番組で、家庭の食料・水・トイレの備えについてこう話し、11月2日に新しくできる防災庁(災害への備えを担う国の役所)の発足に合わせて国民に備えを呼びかける方針を示しました。

1週間分と聞くと、缶詰やレトルト、カップ麺を箱で積み上げる光景が浮かびますよね。

でも、台所のかごに入っている玉ねぎやじゃがいもも、置き方しだいで立派な備えになります。

 

実際に被災した方のなかには、冷蔵庫に残っていた野菜と味噌で味噌汁を作り、何日もしのいだと振り返る人もいます。

停電すると、冷蔵庫の中身は傷む前に食べ切るしかありません。

それを食べ切ったあとも料理を続けられるかは、冷蔵庫の外に置いている玉ねぎやじゃがいもしだいです。

そこで今回は、ふだん食べる野菜を少し多めに置き、使った分だけ買い足していく「野菜のローリングストック」について、日持ちする野菜の選び方と置き方から順番に見ていきたいと思います。




常温で日持ちする4つの野菜

冷蔵庫に入れなくても日持ちする野菜の代表が、玉ねぎ・じゃがいも・かぼちゃ・さつまいもの4つです。

置き場所と、一般によく言われている日持ちの目安をまとめると、こんな感じです。

  • 玉ねぎ 風通しのよい涼しい場所で1〜2か月
  • じゃがいも 暗くて涼しい場所で1か月ほど
  • かぼちゃ 切っていない丸ごとなら1〜2か月
  • さつまいも 冷やしすぎない場所で1か月ほど

玉ねぎ・じゃがいも・かぼちゃ・さつまいもの常温での持ちの目安と置き場所をまとめた図

この4つは、停電で冷蔵庫が止まっても日持ちが変わりません。

ただ、夏に停電してエアコンが止まると部屋が暑くなるので、その時期は常温の野菜も、風通しのいい涼しい場所へ移してあげてください。

 

買ってきた野菜を、とりあえず全部冷蔵庫へしまっている家も多いのではないでしょうか。

冷蔵庫に入れなくていいうえに、この4つは、カレー、肉じゃが、味噌汁、煮物と、家族のいつものごはんにそのまま入ります。

缶詰は非常時のためにしまっておく備えですが、野菜はふだん食べている物がそのまま備えになるのがいいところですね。

 

値段の面で見ても、いまはちょうど玉ねぎやじゃがいもが買いやすい時期に入っています。

農林水産省は2026年9月30日に出した見通しで、10月の東京の市場では、じゃがいもと玉ねぎの値段は平年を下回りそうだとしています。

東京の市場の見通しなので、地域やお店によって値段の動きは違うこともあります。

反対に、白菜やレタスは平年を上回る見込みとされているので、葉物はもうしばらく高いままかもしれません。

スーパーや八百屋で玉ねぎやじゃがいもが安く並んでいる日に、いつもより1袋多めにかごへ入れておく。

どうせ食べる物を安い日に買っておくだけなので、むだな出費にもなりません。




じゃがいもとさつまいもは冷蔵庫に入れない

「じゃがいもって、冷蔵庫に入れておけば長持ちするんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。

実は、農林水産省はじゃがいもを冷蔵庫で保存する必要はないとしています。

すすめているのは、紙袋や段ボールに入れて、風通しのよい暗い場所に置く方法です。

20℃を超えると芽が出たり傷んだりしやすいので、10℃くらいの涼しい場所が向いているそうです。

家の中なら、北側の部屋や玄関まわりのような、日が当たらない涼しい場所が近いですね。

 

冷蔵庫に入れないほうがいい理由は、冷蔵庫の冷たさでじゃがいもの中の糖が増えてしまうから。

その状態で揚げたり炒めたりすると、アクリルアミドという体によくない物質ができやすくなる、と農林水産省は説明しています。

すでに冷蔵庫に入れてしまったじゃがいもは、煮物や蒸し料理に回せば、アクリルアミドはできにくいそうです。

台所の棚の下段に、紙袋に入ったじゃがいもと、ネットに入った玉ねぎ、丸ごとのかぼちゃが並んでいる様子

もうひとつ気をつけたいのが、芽と、皮が緑色になったところ。

じゃがいもの芽や緑の部分には、食中毒の原因になる天然の毒が含まれています。

芽はまわりごと深めにえぐり、緑の部分は緑が見えなくなるまで厚めに皮をむいてください。

農林水産省は、家庭での長い保存は避けて、そのつど必要な量を買うようにともすすめています。

だからこそじゃがいもの備えは、何か月分もまとめて置くより、食べ切れる量を切らさずに回していくのが合っているんです。

部屋の隅の木箱に、紙で1本ずつ包んださつまいもが並び、横に丸ごとのかぼちゃが置かれている様子

 

さつまいもは、もっと寒さに弱い野菜。

冷蔵庫のように温度の低い場所に置くと、低温障害といって、寒さのせいで傷みやすくなってしまいます。

自治体の案内でも、たとえば横浜市は13〜15℃くらいが向いているとしています。

1本ずつ紙に包んで、冷えすぎない部屋の涼しい場所に置いておくと安心です。

寒い地域だと、冬の玄関や暖房のない部屋は冷えすぎることもあるので、人が過ごす部屋の隅に置いておくほうが傷みにくいかもしれません。

「野菜はとりあえず冷蔵庫へ」という習慣も、じゃがいもとさつまいもだけはやめておきましょう。




新聞紙がない家は何で包む?

野菜の保存では「新聞紙に包んで」とよく言われますが、新聞をとっていない家も多いですよね。

野菜を新聞紙で包むのは、光をさえぎって、余分な湿気を吸ってくれるからです。

つまり、光を通さずに湿気を吸ってくれる紙や箱なら、新聞紙でなくてもかまいません。

台所の作業台に、紙袋に入ったじゃがいもと、チラシで包んださつまいも、キッチンペーパーで包んだ玉ねぎ、段ボール箱が並んでいる様子

  • スーパーのチラシ
  • 買い物でもらった紙袋
  • キッチンペーパー
  • 通販の段ボール箱

じゃがいもは紙袋や段ボールにまとめて入れ、さつまいもとかぼちゃはチラシやキッチンペーパーで1つずつ包めば十分です。

反対に避けたいのが、ビニール袋に入れて口をしばったままにすること。

袋の中に湿気がこもって、カビや傷みの原因になります。

玉ねぎはネットで吊るして風を通す

玉ねぎは、湿気がいちばんの苦手です。

買ったときのネットのまま、風の通る涼しい場所に吊るしておくと長持ちします。

吊るす場所がなければ、かごに入れて床から少し離すだけでも、湿気はこもりにくくなります。

勝手口の外の壁に、ネットに入った玉ねぎが吊るされ、下のかごに紙で包んださつまいもが置かれている様子

ただ、常温の台所に野菜を置くと、虫が寄ってこないか気になる方もいると思います。

停電に強いのは常温で置くほうですが、暑い時期や、台所に虫が出やすい家なら、玉ねぎはペーパーで1個ずつ包んで野菜室に入れる方法もあります。

また、春に新玉ねぎを買ったときは別で、新玉ねぎは水分が多くて傷みやすいので、はじめから冷蔵庫で保存するのが向いています。

どの野菜も、ときどきかごの中をのぞいて、やわらかくなったものや芽が出たものを先に使いましょう。

1つが傷むと、まわりにも移りやすいからです。




葉物は干し野菜と乾物で

常温で置ける野菜は根菜やいもが中心で、キャベツやほうれん草のような葉物はどうしても冷蔵庫頼みになります。

ゆでて冷凍しておく手もありますが、停電で冷凍庫が止まると、溶けてしまう前に、いちばん先に食べ切らないといけなくなります。

そこで頼りになるのが、水分を抜いた干し野菜や乾物です。

切り干し大根、干ししいたけ、乾燥わかめ、乾燥野菜のミックスなどは、スーパーの乾物の棚でそろいます。

葉物そのものではなくても、汁物や煮物に野菜を足すにはぴったりです。

乾燥野菜のミックスなら、白菜やキャベツのような葉物を乾かしたものが入っている商品もあります。

どれも軽くて常温で置けるので、置き場所は棚のすき間で十分。

味噌汁やスープにひとつかみ入れるだけで、野菜の入った一杯になるので助かります。

ざるの上に干した大根やにんじん、しいたけが並び、横に乾物の袋が置かれている様子

トマト缶やコーン缶、ミックスビーンズのような野菜の缶詰も、彩りを足すのにぴったり。

生の葉物は買える日に食べて、もしものときは乾物と缶詰でつないでいく、そんなふうに分けておくと安心です。




1週間分を切らさない回し方

野菜の備えで大事なのは、いつも使う量より少しだけ多めに置いておき、使った分だけ買い足すことです。

これが「野菜のローリングストック」です。

ローリングストックは、缶詰や水の備えでもよく使われる言葉で、食べながら買い足して、家にいつも一定の量を置いておく備え方のことです。

  • 1週間でいつも使う玉ねぎ・じゃがいもの量を数える
  • その量を、いつもの買い置きとは別にもう1週間分置いておく
  • 買ってきた新しいものは奥へ、古いものは手前へ
  • 減ってきたら、安い日に同じ量を買い足す

野菜のローリングストックの回し方を、数える・1週間分足す・古いものは手前・安い日に買い足すの4つの順番で示した図

こうしておけば、急に買い物に行けなくなっても、少なくとも1週間分の野菜は台所に残ります。

しかも、いつも食べている物なので、使い忘れて傷ませることもほとんどありません。

 

とはいえ、野菜は1週間分の備えのうちの一部です。




主食、水、トイレ、火も合わせて考えると、家に置いておきたい物はけっこうな量になります。

食品や水、日用品までまとめて見直したい方は、家族の人数ごとの量を数えられるこちらの記事で確かめてみてください。

通販で届けてもらう重い野菜と停電・断水の備え

玉ねぎやじゃがいもは、近所のスーパーや八百屋でふだん通りに買うのがいちばんです。

ただ、まとめて置こうとすると重くて、何袋も持ち帰るのはけっこう大変ですよね。

買い物に行く時間がなかなか取れない方や、重いものは家まで届けてほしい方は、箱で頼める通販が便利です。

通販でまとめて頼むついでに、火と水の備えも一緒に見直しておきましょう。

野菜と乾物に加えて、火と水と明かりの備えがそろうと、停電や断水の日でも「いつものごはん」に近いものが作れます。

淡路島の玉ねぎは10キロ箱で

関西の人には、淡路島の玉ねぎはおなじみですよね。

淡路島の今井ファームの「訳あり10キロ」は、農家から箱で届く玉ねぎです。

皮がむけていたり小さな傷があったり、サイズや個数がお任せだったりするぶん、お値打ちになっています。

楽天では3,290円(送料無料・北海道と沖縄、離島を除く・2026/10/27時点)で、レビューは5,000件を超えています。

玉ねぎはじゃがいもより日持ちしますが、それでも10キロは1家族だと多めなので、実家やご近所と分けたり、届いたら半分をネットに入れて吊るしたりして、少しずつ使っていくのがおすすめです。

反対に、置き場所が台所のかご1つ分しかない家や、玉ねぎをあまり使わない家だと、使い切る前に芽が出てしまうかもしれません。

そういう方は、近所のスーパーで1袋多めに買うほうが、むだなく回せます。

 

 

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葉物の代わりになる乾燥野菜ミックス

葉物の代わりを常温で置いておくなら、白菜やキャベツなどを乾かした乾燥野菜が手軽です。

みそや醤油をつくっているホシサンのお店で扱っている「乾燥野菜ミックス」は、40gの袋が3つのセット。

白菜・にんじん・キャベツ・大根・玉ねぎ・小松菜の6種類の野菜が使われています。

カット済みなので、そのまま味噌汁やスープの具に使えて、包丁やまな板を洗う水も節約できます。

断水した日は洗い物の水がいちばん惜しくなるので、これは思っている以上に助かります。

ただ、生野菜のシャキッとした食感の代わりにはならないので、サラダ用ではなく、汁物と煮物に使うものと割り切っておくと使い道に迷いません。

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玉ねぎと煮ればおかずになるサバ缶

缶詰は、スーパーで買い物のたびに1つずつかごに入れておくのが続けやすい方法です。

なかでもサバ缶は、そのままでもおかずになり、玉ねぎと一緒に煮ればもう一品になります。

家族の好きな味が決まっていて、まとめて置いておきたいなら、箱で届く通販が楽です。

古今東北の「やっこいさば味噌煮」(「やっこい」は〈やわらかい〉という意味の方言)は、青森の八戸港に水揚げされたサバを仙台味噌で煮込んだ缶詰で、190gの缶を12缶か24缶で選べます。

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缶詰を何缶置けばいいかや、続けやすい味を知りたい方は、こちらの記事が参考になります。

野菜を洗う水を作れる携帯浄水器

断水が続くと、飲み水のほかに、野菜を洗ったり煮たりする水も足りなくなってきます。

飲む分は保存水で用意できても、料理や洗い物の分まで何十リットルも置いておくのは、置き場所を考えると大変です。

携帯浄水器があれば、給水所でもらった水は飲み水に回し、洗い物や手洗いのほうには、お風呂の残り湯やためておいた雨水をこして使うことができます。

GreeshowのGS-2801は、水を吸い上げてこしてくれる電動タイプで、本体は350gと軽く、USB Type-Cで充電できます。

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ただ、こした水をそのまま飲めるかはもとの水の状態しだいなので、開けてすぐ飲める保存水も別に置いておきましょう。

電動なので、停電が長引いたときに備えて、モバイルバッテリーなど充電の手段も一緒に用意しておくと、いざというとき困りません。

 

 

 

 

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家族の人数や、こしたい水の種類から比べたい方は、5つの浄水器を並べたこちらの記事もあわせて見てみてください。

停電の夜も充電できるポータブル電源

野菜とカセットコンロがあれば温かい料理は作れても、スマホの充電や夜の明かりは電気がないと困ります。

ポータブル電源でよく知られているメーカーのひとつが、Jackery(ジャクリ)です。

Jackeryの「240 New」は、容量256Wh(ためておける電気の量)・定格出力300W(一度に使える電気の大きさ)の小型モデルで、重さは3.6kgと、同じメーカーのポータブル電源のなかでいちばん軽いタイプです。

スマホやLEDライトのほか、扇風機や電気毛布も使えるとメーカーは案内しています。

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ただ、家の冷蔵庫や電子レンジのように電気を多く使う家電を動かすには、もっと大きな容量が要ります。

 

 

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家で動かしたい家電から容量を選びたい方は、Jackeryの3つのタイプを用途で比べたこちらの記事を読んでみてください。

 

ここまで紹介した5つの備えを、停電や断水のどんな場面で助かるかで並べると、こうなります。

備え 助かる場面 向いている人
玉ねぎ10キロ箱 買い物に行けない日の料理 玉ねぎをよく使う家・分け合える家
乾燥野菜ミックス 葉物が手に入らない日の汁物 冷蔵庫に頼らず野菜を置きたい人
サバ缶 火を使えない日のおかず 好きな味をまとめて置きたい人
携帯浄水器 断水中の洗い物の水 給水所まで遠い家
ポータブル電源 停電中の充電と明かり スマホや小さな家電を使いたい人

 

「1週間分」と聞くと構えてしまいますが、いつもの野菜を切らさずに回すことなら、今日の買い物からでも始められます。

家族のごはんを守るいちばん手軽な備えは、案外、台所のかごの中にあるのかもしれませんね。