断水で困るのは、蛇口が使えないことだけではありません。

給水所へ容器を持って行き、水を受け取り、家まで運ぶ。

飲み水と料理に使う水だけで、目安は1人1日約3L。

4人家族なら、1日に約12L必要です。

 

小さな子どもと一緒に、その量を毎日運べるでしょうか。

水を家に備え、運ぶ容器を用意し、条件の合う浄水器を補助にする。




浄水器は、どんな水でも飲めるようにする道具ではありません。

何の水に使えるのか、何を取り除けるのかを、買う前に確かめましょう。

水は飲む分から備える

飲料水と清潔な給水容器を備えた台所

開ければ飲める水と、給水を受ける清潔な容器を別に備えます。

給水を受けられるようになるまで使う水も、手元に必要です。

農林水産省の目安は、飲料と調理用で1人1日およそ3L。

4人なら3日で36L、1週間で84L。

手洗い、洗濯、トイレなどの生活用水は、それとは別に考えます。

重い箱は、まとめて高く積むと取り出すのも大変です。

棚の強度を確かめ、低くて手の届く場所へ分けて置いておきましょう。



普段から飲んで、減った分を買い足せば、長期保存用の水だけを買わなくても備えを続けられますね。

水の備えは役割を分ける。家に置く水:開ければ飲める備蓄水。運ぶ容器:飲用に適した清潔な給水容器。補助の浄水器:対応する原水・除去対象を確認。油・薬品の混入が疑われる水や海水には使わない

給水を受けて運ぶ備え

2026年夏の熊本の地震でも、水道が止まりました。

地域へ水を送る太い管が8月にひとまず直っても、家の配管が壊れていれば別の修理が必要になります。

 

そのため、家に飲み水を置いておくことに加え、水をもらえる場所からどう運ぶかも考えておきたいですね。

大きな容器を満杯にする前に、持つ人の力や階段の有無を確認し、小分けの容器も選べるようにしておきましょう。

水の容器を買う前に、給水所から玄関まで、どう運ぶかを思い浮かべてみましょう。

台車で進める道と、階段で持ち上げる区間は分けて考えたいところです。

水が入っていない容器を手に、家の階段で持ち替えられるか、収納から家族が取り出せるかを試す。

満水の重い容器を無理に運んで試す必要はありません。

玄関に飲料水と清潔な給水容器、運搬用の台車を用意した例

大きなタンクを買うと、運ぶ回数を減らせそうに見えます。

でも、最後に家の玄関まで持ち上げるのは誰でしょうか。

私は、たくさん入ることよりも、家族が無理なく持って運べることを大事にしたいです。

給水所が開いても、自宅の蛇口から水が出るわけではありません。

容器を持参する必要や配布方法は、その地域の給水案内を確認します。

20Lの水は約20kgですから、大きなタンクを満水にして1人で運ぶ前提にはしないでください。

給水してもらう容器は、飲み水に使える清潔なものを用意しましょう。

 

折りたたんでしまえる給水タンク

給水を受けるための容器です。

飲用に使える表示、運ぶ人が握れる持ち手、口を開けて清潔に扱えるかで選びます。

10Lの水は約10kg。

満水まで入れない使い方も含め、家族が運べる量から大きさを決めましょう。

使わないときの薄さだけでなく、広げて給水し、家で水を出す動作まで試しておくと役立ちます。

浄水器にも取れないものがある

細菌やウイルス、薬品など、取り除けるものは浄水器ごとに違います。

フィルターの細かさだけで「何でも取れる」とは判断しないでください。

  • 何の水に使えるか、何を取り除けると確認されているか、いつ交換するかを、買う製品の説明書で確かめる
  • 米国のCDCも、燃料や有害な薬品が混じった水は、沸かしたり消毒したりしても安全にはならないと案内している
  • 洪水で汚れた水、油や薬品の混入が疑われる水、入浴剤入りの残り湯を、飲み水の候補にしないことが大事です

ここで紹介する一般的な防災用浄水器は、海水から塩分を取って飲めるようにする道具でもありません。

浴槽に残した水は掃除などの生活用水として分け、飲用は備蓄水や安全な給水を優先しましょう。

浴槽の水をトイレへ流す場合も、建物や排水管が使えるか、先に管理者や自治体へ確かめてください。



煮沸と保存で気をつけること

布や砂、炭で濁りを減らせても、透明になっただけでは飲める証明にはなりません。

自作のろ過装置で残り湯や雨水を飲み水にする、という使い方は勧めません。

水を沸かすのは、菌などへの対策です。

水に溶けた塩分や薬品まで、取り除けるわけではありません。

自治体から煮沸等の案内が出た場合は、その指示に従ってください。

 

浄水後の水も、容器や保存の条件で再び汚れるおそれがあります。

作る量と保存方法は製品の説明書に従い、清潔な容器で扱うことが必要です。

タンクに入れた水を、使うときにフィルターへ通す機種もあります。

タンクの中の水も、すでに浄水済みだと思わないよう、仕組みを確かめましょう。



携帯浄水器を選ぶ条件

使ってよい水を確かめたら、電源と交換用のフィルターも見ておきましょう。

手動で使えるか、充電が必要か、フィルターの保管に乾燥や凍結の制限があるか。

予備の部品と使い方も確認(道具のイメージ)。
予備の部品と使い方も確認(道具のイメージ)。

箱を開けて取扱説明書を読み、実際に使う場面を考えると、一緒に用意しておきたい備品も分かってきます。

浄水器は、持ち歩く小型のものから、家に置いて使うタンク型までさまざまです。

USBで充電するもの、太陽の光や手回しでも充電できるもの、手動ポンプで動かすものがあるので、停電中に使えるかも考えて選びましょう。

どの製品が家族に合うかを具体的に比べたい方は、人数と使う水から選ぶ携帯浄水器おすすめ5選へどうぞ。ストロー式やボトル式、家族で使う吊り下げ式の違いも確かめられます。

 

ボタンで給水できる電動浄水器

手で何度も押したり吸ったりせず、ボタンで給水したい方の候補です。

日本公式の説明では、USB-Cで充電でき、1分間に350〜700mlの水をこせます。

フィルター交換の目安は、1000Lです。

ただし、この量は水道水で調べた目安なので、どんな水でも同じ量を作れるとは限りません。

もとの水の汚れ具合によって、水の出方やフィルターの交換時期は変わります。

電動の扱いやすさと引き換えに充電が必要になるので、停電時の充電手段も揃えたいですね。

メーカーは、水道水や川・渓流の水、雨水に使うと案内しています。

ただし、油や薬品が混じったおそれのある水は避け、使ってよい水の条件を守ってください。

 

太陽光や手回しでも充電できる浄水器

USBに加え、ソーラーと手回しの充電方法も持っておきたい家庭の候補です。

日本公式は、通常はUSBで充電し、ソーラー等は緊急時の対策として使うよう案内しています。

GS-2801との大きな違いは、USB以外の補助充電手段があること。

日本公式によると、細菌や、お腹をこわす原因になる原虫などをこし取ります。

一方で、海水や洗剤の混じった水、工場の排水などには使わないよう案内されているので、使う水は慎重に選んでください。

スマホへの緊急給電にも対応していますが、浄水用と同じ電池を使うことも見込んで選びたいですね。

 

ポンプで使うタンク型浄水器

タンクと浄水機能を組み合わせたタイプです。

手でポンプを押し、タンクの水をフィルターへ通して使います。

LifeSaver日本公式のJerrycanは、18.5Lのタンク型です。

メーカーは、細菌やウイルス、お腹をこわす原因となる一部の寄生虫などを取り除くと案内しています。

海水や、燃料・薬品が混じった水を飲み水にするための道具としては選ばないでください。

タンクが大きいぶん、満水の重さと置き場所、操作する人の負担も見ておきたいですね。

人数より使い方に合わせる

1人暮らしだから電動、4人家族だからソーラー、と人数だけでは決められません。

その浄水器で使える水が近くにあるか、必要な量を1日に作れるか、誰が操作するかを、先に考えましょう。

どこから水をくみ、1日に何L使うかを決めると、小型の充電式か、大きくて重い手動タンク型かを比べやすくなります。

 

充電の条件と使用量を確かめ、予備の水も残しておきたいですね。

高層階に住む家庭も、浄水器があれば水を運ばなくてよくなるわけではありません。

使ってよい水が手に入らない日は、浄水器も使えないことを考えておきたいですね。



保存水と普段の浄水を分ける

最初に用意したいのは、開ければ飲める水です。

浄水器があっても備蓄の目安を省かず、家族の人数と日数で揃えておきます。

水道水専用のポットは、普段の水の味を整えるための道具です。

災害用の浄水器も、メーカーが使ってよいと認めた水だけに使います。

水道水専用のポットは、災害用として代用しないでください。

 

長期保存できる飲料水

開けてすぐ飲める水は、浄水器と別に確保します。

500ml×24本なら合計12Lで、1人1日3Lとすると1人4日分、4人家族では1日分です。

長期保存の年数だけで決めず、家族の必要量、収納、賞味期限を見て補いましょう。

開封後の扱いは表示に従い、汚さず使えるサイズを選んでくださいね。

 

使う水を減らす工夫

食器にラップを敷く、拭き取り用品を使う、1回で食べ切れる食品を選ぶ。

洗い物に使う水を減らす工夫も用意し、飲み水を我慢せずに済むよう備えておきましょう。

携帯トイレがあれば、水で流さずに尿や便を袋にまとめられます。

容器の内側や注ぎ口を汚さないよう扱い、家族で使い方と洗浄方法を共有しておきましょう。



安全な水を先に確保する

水は、家に置く分、給水所から運ぶ分、浄水器で補う分を分けて考えます。

浄水器を買っても、その機器で使える水がなければ出番はありません。

先に、家にある飲み水の量と、誰が何Lなら運べるかを確かめておきましょう。

 

容器も浄水器も、その答えに合うものを選ぶと無駄が減ります。

タンクの取っ手を持って玄関まで運べるか。

そこまで考えて選んでおけば、断水した日に「重くて運べない」と困るのを減らせそうです。

出典・参考資料(開く)