1週間分の水が、2リットルのペットボトルで何本になるか、すぐに言えますか?

大人1人なら12本。

家族4人なら48本です。

 

11月2日、災害への備えから復旧・復興までを受け持つ国の新しい役所「防災庁」が発足します。

それに合わせて全国民に「緊急要請」(家庭や役所に、災害への備えを急いで進めてほしいという呼びかけ)を出すと、細野豪志防災担当大臣が2026年10月26日にフジテレビのネット番組で話しました。

細野大臣が家で用意しておいてほしいと挙げたのは、食べ物と水とトイレの備えで、最低でも3日分、できれば1週間分です。

ところが、その1週間分を実際に家族の人数ぶん並べてみると、こんな量になります。

これは、2026年7月28日に熊本県で震度7の地震が起きた日に、日本経済新聞がXに載せていた図です。

大人2人と子ども2人の4人家族で、飲み水76リットル、レトルトご飯59食、簡易トイレ105回分にもなります。

見た瞬間に「うちのどこに置くの?」と思った方も多いはずです。

そこで今回は、1週間分の備蓄で「何を・どれだけ・どこに」置けばいいのか、家族の人数ごとの早見表と、食べながら回していく7日間の順番もあわせてまとめました。

大人1人の1週間分の目安

農林水産省は、大人1人が1週間を家で過ごすための備蓄の例を出しています。

中身はこんな感じ。

  • 水 2リットル×6本を2箱(1日3リットルほど)
  • カセットコンロと、ボンベ6本
  • お米 2キロを1袋
  • パックご飯3個・カップ麺3個
  • 乾麺 そうめん1袋とパスタ1袋
  • レトルト(牛丼の素・カレーなど)9個とパスタソース3個
  • 缶詰 好きなものを9缶
  • 日持ちする野菜・梅干し・のり・インスタント味噌汁・調味料・お菓子

こうして並べてみると、いわゆる特別な非常食は、じつはほとんど入っていないんですよね。

お米、カップ麺、そうめん、カレー、缶詰。

どれもスーパーで普段から買っているものばかりです。

 

首相官邸のページには、飲み水や食べ物のほかに、トイレットペーパーやティッシュ、携帯トイレ、カセットコンロなども人数分そろえるよう書かれています。

1週間分でそろえたいものを、チェックリストにまとめるとこの6つです。

1週間分の備蓄チェックリスト。飲み水は1人1日3リットル、主食とおかずと汁物とおやつ、カセットコンロとボンベは1人1週間6本、生活用水のための給水タンクやお風呂の水、トイレは1人1週間35回分、明かりと乾電池、トイレットペーパーとティッシュ

 

政府広報も、普段の食品を回しながら備える「ローリングストック」をすすめています。

ローリングストックは、いつもの食べ物を少し多めに買っておき、食べた分だけ買い足していく備え方のことです。

使いながら回すので、「気づいたら賞味期限が切れていた」ということが起きにくく、そこがこのやり方のいいところです。

 

1週間分と聞くと「1回の買い物でそろえる量」に思えますが、私は「家の中に常にある量」として考えておくのがいちばん大事だと思っています。

台所の床に、お米の袋・カップ麺・乾麺・レトルトのパック・缶詰・カセットボンベと、水のペットボトルが入った段ボール箱を並べて真上から見た様子

普段の買い物で1つずつ多めに買っていけば、何週間かでこの量に届きます。

家族の人数で何をどれだけ?

農林水産省の大人1人分の例を、そのまま人数分にすると次のようになります。

1週間分 1人 2人 3人 4人
水(2リットル) 12本 24本 36本 48本
カセットボンベ 6本 12本 18本 24本
お米 2キロ 4キロ 6キロ 8キロ
パックご飯 3個 6個 9個 12個
カップ麺 3個 6個 9個 12個
レトルト 9個 18個 27個 36個
缶詰 9缶 18缶 27缶 36缶
トイレ 35回分 70回分 105回分 140回分

トイレの回数は、内閣府が紹介している「1人1日5回、1週間で35回分」という目安です。

乾麺と野菜・調味料は、家族で使う量に合わせて足していけば大丈夫です。

買い物のときにすぐ見られるように、この表だけでも保存しておくと便利ですよ。

 

家族の人数ごとの1週間分の目安。水の2リットルは1人12本・2人24本・3人36本・4人48本、カセットボンベは1人6本・4人24本、トイレは1人35回分・4人140回分

冒頭の日経の図は子どもがいる4人家族で計算しているので、水は76リットル、トイレは105回分と、この表の4人(大人4人ぶん)より少なめになっています。

子どもがいる家なら、日経の図と同じように、子どもの分は大人より少なめに見積もってかまいません。

そのかわり、ミルクやおむつ、離乳食、持病の薬のように、その家族にしか要らないものは別に足しておく必要があります。

赤ちゃんがいる家族4人なら、3日分のおむつやミルクが何個になるかをこちらで数えています。

 

とはいえ、子どもの分を少なめにしても、この表を見て「無理でしょ」と感じた方の気持ちはよくわかります。

大人4人ぶんの48本なら、水だけで段ボール8箱分。

マンションの収納で、これを1か所に置ける家はそう多くないと思います。

だからこそ、1週間分は「どこに置くか」まで決めておかないと、なかなかそろえきれないんですよね。

水と食べ物の置き場所

1週間分は、1か所にまとめず、家の何か所かに分けて置くのが現実的です。

ネットでも、地震で棚ごと倒れて使えなくなることを考えて、分けて置いておこうという声がありました。

たとえば、家の中ではこんなふうに分けて置いておくことができます。

置き場所の分け方の例
  • 台所の棚 すぐ食べる缶詰・レトルト・カップ麺
  • 押し入れやクローゼットの下段 水のケースと乾麺、カセットボンベ
  • ベッドの下 水の2リットルを横に寝かせて
  • 玄関の収納 非常用トイレ

水は重いので、高いところより床に近い場所に置いておきたいところ。

カセットボンベは火のそばや、夏に暑くなる場所を避けて置きましょう。

 

ネットで紹介されていた、飲み水を40リットル置いている家の棚も、普段から食べているものと一緒に並べてあります。

紙皿やラップを多めに置いているのにも、ちゃんと理由があります。

断水すると、飲み水だけでなくお皿を洗う水も足りなくなるからです。

また、水のケースは箱に賞味期限を大きく書いておくと、どれから飲めばいいか迷わずに済みます。

7日間で食べる順番

1週間分をそろえても、どの順番で食べるかを決めていないと、いざというとき慌ててしまいますよね。

停電や断水のあとは、傷みやすいものから先に食べて、日持ちするものを後ろに回すのが基本です。

特に肉や魚は傷みやすいので、停電したら冷蔵庫の中でもいちばん先に火を通して食べましょう。

7日間の献立に当てはめてみると、たとえばこんな流れになります。

停電・断水したときの7日間の順番
  • 1〜2日目 冷蔵庫の肉・魚・野菜をカセットコンロで
  • 3日目 冷凍庫の中で溶け始めたもの
  • 4〜5日目 お米や乾麺に、玉ねぎ・じゃがいもと缶詰
  • 6〜7日目 レトルト・パックご飯・カップ麺

停電や断水のあとの7日間の食べる順番。1〜2日目は冷蔵庫の肉・魚・野菜、3日目は冷凍庫で溶け始めたもの、4〜5日目はお米や乾麺に常温の野菜と缶詰、6〜7日目はレトルトとカップ麺

お米を炊く水や乾麺をゆでる水は、備えておいた水の中から。

農林水産省の「1日3リットル」という目安には、飲み水だけでなく料理に使う水も入っています。

日数はあくまで目安なので、においや見た目がおかしいものは無理に食べないでくださいね。

 

この順番で食べていけば、備蓄の箱を開けるのは、冷蔵庫の中身を食べ切ってからでも間に合うんです。

4日目以降のおかずづくりには、常温で日持ちする玉ねぎやじゃがいもが頼りになります。

もうひとつ大切なのが、家族が普段食べ慣れている味を入れておくことです。

子どもが好きなカレー、いつものカップ麺、おやつのお菓子。

不安な日が続くほど、「いつもの味」を口にできるだけで気持ちが少し落ち着くものです。

 

夜のダイニングで、ランタンの明かりの下、カセットコンロにふたをした鍋がのり、テーブルの端に未開封のレトルトのパックと缶詰が置かれている様子

それから、7日間を過ごすあいだは、料理や洗い物に使う水をできるだけ減らす工夫も大事になってきます。

警視庁の災害対策課の公式アカウントも、職員の家でクッキングシートを使って、洗う手間と水を減らしている話を紹介していました。

クッキングシートや紙皿、ラップ、ポリ袋も、食べ物と一緒に回しておくと安心です。

どれも普段の料理で使い切れるので、ローリングストックとの相性がいいものばかりです。

1週間が終わったら、食べた分を次の買い物で買い足して、また同じ量に戻しておきましょう。

飽きない食べ物の組み合わせ

1週間、毎食同じものが続くと、どんなにおいしくても飽きてしまいます。

そこでおすすめしたいのが、食べ物を主食・おかず・汁物・おやつの4つに分けて、それぞれ2〜3種類ずつそろえておくやり方です。

  • 主食 お米・アルファ米・保存パン・乾麺
  • おかず レトルトカレー・肉のレトルト・魚の缶詰
  • 汁物 フリーズドライの味噌汁・スープ
  • おやつ ようかん・ビスケット・チョコ

飽きない備蓄の組み合わせ。主食はお米・アルファ米・保存パン・乾麺、おかずはレトルトカレー・肉のレトルト・魚の缶詰、汁物はフリーズドライの味噌汁・スープ、おやつはようかん・ビスケット・チョコ。4つから1つずつ選ぶと同じ組み合わせが続きにくい

4つから1つずつ選ぶだけで、同じ組み合わせが続く日はぐっと減ります。

どれもスーパーやドラッグストアで手に入るので、まずはいつもの買い物で1つずつ多めにかごへ入れれば十分です。

そのうえで、まとめて箱で置きたいもの、近所では種類がそろわないものは通販が便利です。

このあと紹介する商品の価格とレビューの件数は、2026年10月28日時点の楽天市場のものです。

お湯でも水でも戻せるアルファ米

尾西食品のアルファ米は、お湯でも水でも戻して食べられるご飯で、お湯なら15分ほどでできあがります。

1袋でおにぎり約2.5個分の260グラムになり、スプーンもついています。

白飯10食セットで4,200円、製造から5年もちます。

 

 

 

▶Amazonで見る

 

しっとり甘い保存パン

ご飯ばかりで飽きた日に助かるのが、尾西食品の「ひだまりパン」です。

プレーン・メープル・チョコの3つの味があり、袋入りなので缶入りのパンよりゴミが少なくて済みます。

12個セットで3,880円、製造から5年保存できます。

 

 

 

▶Amazonで見る

 

3分半でゆであがる稲庭うどん

乾麺は、ゆでる水さえあれば温かい主食になります。

無限堂の稲庭うどんの切り落としは500グラムで約5〜6人前、細めの麺なので3分半でゆであがります。

製造から2年もって、1,150円です。

 

 

 

 

7種類から選べるレトルトカレー

カレーなら、子どもも大人も食べ慣れています。

ニチレイのレストラン向けカレーのセットは、ビーフの甘口・中辛・辛口、チキン、インド風バターチキン、欧風ビーフ、ハッシュドビーフの7種類から選べます。

7種類のうち好きな1種類を、20食から100食までまとめて買えます。

 

 

 

▶Amazonで見る

 

そのまま食べられる鶏の炭火焼き

肉のおかずが恋しくなる日には、ミート21の「鶏の炭火焼き」が便利です。

国産の鶏肉を炭火で焼いたレトルトで、加熱済みなので袋から出してそのまま食べられます。

100グラムずつの6袋入りで2,880円、未開封なら常温で2年もちます。

 

 

 

▶Amazonで見る

 

箱で置けるサバの水煮缶

伊藤食品の「あいこちゃん 青の鯖水煮」は、食塩を使っていない国産のサバの水煮です。

味がついていないので、味噌汁に入れても、玉ねぎと炒めても使えます。

150グラムが24缶入って5,950円です。

 

 

 

▶Amazonで見る

 

お湯を注ぐだけの味噌汁

温かい汁物が1杯あるだけで、レトルトの食事でもほっとします。

アマノフーズの「金のだし」は、焼なす・とうふ・あおさ・五種の野菜・玉子・なめこ赤だしの6種類が1食ずつ入ったフリーズドライの味噌汁です。

6食で1,180円、製造から1年半もちます。

 

 

 

▶Amazonで見る

 

5年もつようかん

おやつも、不安な日には大事な備えです。

井村屋の「えいようかん」は、製造から5年保存できるようかんです。

5本入りの1箱が900円で、子どものおやつにも大人の小腹満たしにも使えます。

 

 

 

▶Amazonで見る

 

考えずにそろう7日分の非常食セット

選ぶ時間がない方には、防災のサイボウの「非常食7日間満足セット」があります。

アルファ米・リゾット・保存パン・おかず・スープ・おやつまで、7日分の食事が38種類50品で届きます。

16,500円で製造から5年もちますが、入っている水は500ミリリットル7本だけなので、飲み水は別に用意してください。

 

 

 

▶Amazonで見る

水・火・トイレ・明かりの備え

食べ物と同じくらい大事なのが、水と火、トイレ、夜の明かりです。

首相官邸のページでは、飲み水とは別に、トイレを流すための生活用水も要るとしています。

お風呂に水を張っておく、ポリタンクに水道水をためておく、などです。

キッチンの流しで、お父さんが蛇口つきの折りたたみタンクに水道の水をため、お母さんと子どもたちが空のペットボトルを抱えて順番を待っている様子

玄関まで届く2リットルの水

水は重いうえに、量もいちばん要ります。

水想いのナチュラルミネラルウォーターは、2リットル×9本で1,480円、楽天のレビューは8,500件を超えています。

2人家族なら3箱27本で1週間分です。

 

 

 

▶Amazonで見る

 

生活用水をためる給水タンク

給水タンクは、断水したときに給水所から水を運んだり、生活用水をためたりするのに使います。

FIELDOORの折りたたみウォータータンクは15リットル入りで、蛇口つき。

使わないときは小さくたためて、1,650円です。

 

 

 

▶Amazonで見る

 

鍋も温められるカセットコンロ

レトルトや味噌汁を温めるには、カセットコンロが欠かせません。

イワタニの「スーパー達人スリム」は日本製で、ボンベを磁石で付け外しするので付け間違いが起きにくいコンロです。

4,390円です。

ボンベは大人1人1週間で6本が目安なので、ドラッグストアやホームセンターで人数分そろえておきましょう。

 

 

 

▶Amazonで見る

 

60回分入った非常用トイレ

断水すると水が流せないので、便器に袋をかぶせて凝固剤で固めて捨てる非常用トイレ(簡易トイレ・携帯トイレとも呼ばれます)が必要です。

RONE_SHOPの非常用トイレセットは防災士が監修したもので、防臭袋もついて1箱60回分。

1人の1週間分は35回分なので、4人家族(140回分)なら60回分を3箱が目安です。

 

 

 

 

水が尽きたときの携帯浄水器

携帯浄水器は、断水が長引いたとき、川の水や雨水をろ過して飲めるようにする道具です。

ソーヤーの「ミニ」は、細菌も通さない0.1ミクロンの細かい穴でろ過し、ペットボトルにそのままつなげられます。

付属品が少ない簡易版が4,180円、パウチなどがそろった通常版が5,940円です。

水に溶けた重金属や化学物質、ウイルスまでは取り除けないので注意してくださいね。

 

 

 

▶Amazonで見る

 

電池でもUSBでも灯るランタン

懐中電灯は100円ショップでも見かけますが、部屋全体を照らすならランタンが便利です。

VantozonのLEDランタンは、乾電池でも本体の充電でも使えて、充電で約4.5時間、乾電池で約7.5時間、両方合わせると約12時間灯ります。

2,780円です。

乾電池は、いつもの買い物でまとめて買っておけば十分です。

 

 

 

 

停電が続く日のポータブル電源

ポータブル電源は、家のコンセントと同じように家電をつなげる大きな充電池です。

Jackery 500 Newは、ためておける電気の量が512Wh、同時に動かせる家電の合計が500Wまで。

別売りのソーラーパネルをつなげば晴れた日の昼に充電できるので、停電が1週間続いても電気を足していけます(本体のみで69,800円)。

 

 

 

▶Amazonで見る

停電の日に動かしたい家電が決まっているなら、容量の違う3台を並べたこちらの記事で、どれが合うか見比べられます。

慌てて買い込まなくていい理由

11月2日に「緊急要請」が出ると聞いて、今週末にまとめて買いに行こうと考えている方もいるかもしれません。

でも、細野大臣が挙げているのは南海トラフ地震や首都直下地震、富士山の噴火といった、前々から言われてきた大きな災害への備えで、何か新しい危険が迫っているという発表ではありません。

最低3日、できれば1週間という日数も、国が以前から案内してきた目安と同じです。

「11月2日に何かが起きるのでは」という噂が気になる方は、なぜこの日なのかをこちらで確かめられます。

ネットでは「いきなり1週間分の備蓄をして、って言ったら買い占めが起きるでしょう?」と心配する声もありました。

 

スーパーの売り場で、夫が買い物かごに2リットルの水を入れ、妻が缶詰を手に取って笑顔で話しかけている様子

ローリングストックなら、毎週の買い物に少しずつ足していくだけで、誰とも取り合わずに少しずつ1週間分まで増やしていけます。

たとえば、こんな順番で1周して、早見表の数になるまで繰り返していけば十分間に合います。

  • 1週目 2リットルの水を家族の人数分のケース
  • 2週目 缶詰とレトルトを数個ずつ
  • 3週目 カセットボンベ(1人6本)と非常用トイレ
  • 4週目 味噌汁やおやつで味の種類を増やす

2週間分まで広げたい方や、日用品もまとめて見直したい方は、こちらも参考にしてみてください。

国から「1週間分」と言われると、何か大きなことが起きる前ぶれのように聞こえてしまいます。

でも、早見表の数を毎週の買い物で少しずつ家の中に増やしていけば、それがそのまま家族の1週間分になります。

慌てて買い込むより、いつもの買い物を少しだけ多めにするほうが、ずっと確かな備えなのではないでしょうか。

出典・参考資料(開く)