「グレートリセットが始まる」

ここ数日、この言葉があちこちで飛び交っています。

10月15日には日経平均株価が1日で3,318円も下がり(下げ幅は歴代3位)、AIを悪用したサイバー攻撃への心配も毎日のように流れてきます。

そこへ、防災庁が発足する「11月2日」という日付まで重なって、お金が意味を持たなくなる日が来るのではと、胸がざわついた方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、グレートリセットがもともと誰の言葉だったのか、なぜ11月2日に噂が集まったのか、そして「世界経済が崩壊する」という海外の怖い説のどこまでが本当にあった話なのかを、ひとつずつ一緒に確かめていきましょう。

中でもいちばん背筋が冷えるのは、爆弾も戦争も使わずに通帳の数字が本物かどうか、誰にも分からなくなるという説です。

あわせて、噂を信じる人も信じない人も、家に置いておくと安心な現金と書類の備えも紹介します。

グレートリセットを広めたWEF

グレートリセットという言葉を世界に広めたのは、スイスに本部がある世界経済フォーラム(WEF)です。

毎年1月にスイスの保養地ダボスで、各国の首脳や大企業のトップが集まる「ダボス会議」を開いている団体ですね。

2020年6月、WEFを立ち上げたクラウス・シュワブ氏と、当時のイギリスのチャールズ皇太子(いまの国王)が、新型コロナで止まってしまった経済を立て直すための構想として「グレート・リセット」を打ち出したのが始まりです。

同じ年の7月には、シュワブ氏らが同じ名前の本も出しています。

 

中身をひと言でいうと、コロナで世の中が止まったこの機会に、環境や格差に配慮した経済へ作り直そう、という呼びかけ。

ただ、どの国が・いつまでに・何をするのかといった具体的な計画は書かれていませんでした。

中身がふわっとした大きな言葉だったぶん、「本当は別の計画が隠れているのでは」と勘ぐる人が出てきたのでしょう。

雪をかぶったスイスの山並みと山あいの会議場を背に、木のテーブルの上で画面が光るスマホ

 

実は言葉そのものは、もっと前からありました。

2010年には、アメリカの都市学者リチャード・フロリダ氏が、リーマンショック(2008年の世界的な金融危機)のあとの暮らし方の変化を書いた本に『The Great Reset』という題をつけています。

 

日本の政治家の口からこの言葉が出たこともあります。

  • 2020年9月 石破茂氏(のちの首相)が自民党総裁選の討論会で「成し遂げたいのはグレートリセット」(その後の会見で地方創生の話と説明)
  • 2022年1月 岸田文雄首相(当時)がダボス会議のオンライン演説で「今、我々は、Great Reset の先の世界を描いて行かなければなりません」と語る

ただネットでは、首相経験者が2人も同じ言葉を使ったことを、「日本も計画に乗っている証拠だ」と受け取る人も。

一方で、「コロナ禍そのものが、もうリセットだったのでは?」と感じている人もいます。

(投稿はここで途切れています)

在宅の仕事が増え、物の値段が上がり、遠い国では戦争も始まった。

暮らしは確かに変わったのに、いつ・どこで何が切り替わったのかと聞かれると、誰にもはっきりとは言えません。

そのもやもやに、「リセット」という分かりやすい言葉がぴったりはまってしまうのかもしれませんね。

11月2日に噂が集まった理由

では、なぜいま「11月2日」なのか。

11月2日は、国の新しい役所「防災庁」が発足する日です。

その日に合わせて、防災担当大臣が全国民へ食べ物や水、トイレの備えを呼びかけると報じられ、「全国民に緊急要請」という見出しがSNSで一気に広がりました。

この呼びかけの前後には、次のような出来事も重なっていました。

  • 10月15日 日経平均株価が1日で3,318円安
  • 10月22日 イギリス政府が、冬の嵐やサイバー攻撃に備えて家庭に3日分の備えを呼びかけ
  • 11月3日 アメリカの議会を選ぶ中間選挙の投票日(「この前後に何か起きる」と噂に結びつけられた日)

株の急落を受けて、「リーマンショック級では済まない」「今回はお金を刷って対応することができない」と心配する人も。

2008年のリーマンショックや2020年のコロナのときは、各国の中央銀行(日本なら日本銀行)が世の中に大量のお金を流して景気を支えました。

ところが今は物価が上がり続けているので、同じ手を使えば値上がりにさらに火をつけてしまう、と見ている人たちがいるんですね。

「次は助けてもらえないかもしれない」と不安になった人が、「お金が意味を持たなくなる」という言葉まで口にするようになっているわけです。

 

1つずつなら聞き流せる出来事も、1か月ほどのあいだに立て続けに起きると、まるで何かの筋書きのように見えてしまうんですよね。

ただ、防災庁の発足日が11月2日に決まったのは、2026年9月25日の閣議でした。

準備そのものは2024年から進んでいて、日付は株の急落よりも前に決まっていました。

国民への呼びかけ自体は本当ですが、中身はこれまでと同じ食べ物や水、トイレの備えのお願いです。

会見で「緊急」という強い言葉が出てくるのは、国民向けではなく、主に自治体や省庁へ要請する場面。

11月2日の緊急要請が、いつから「怖い話」として広まるようになったのかは、日付を順に追ったこちらの記事で確かめられます。

 

つまり11月2日は、もともと防災庁が始まる日として決まっていただけで、そこへあとから、不安になった人たちの噂がたまたま乗っかってしまったんです。

グレートリセットの噂ができるまでの流れ。2010年に本の題名、2020年6月にWEFの構想、2026年10月に株の急落とサイバー攻撃の不安、そこへ11月2日の日付がくっついた

そこへグレートリセットという大きな言葉まで加わって、「その日にお金の仕組みがひっくり返る」という話にまで膨らんでいきました。

預金封鎖や新円切替の噂は本当か

日本でグレートリセットの話をする人が、いちばん多く口にしているのはお金にまつわる噂です。

いま流れている話は、だいたい次のようなものです。

  • 銀行の預金が引き出せなくなる(預金封鎖)
  • 今のお札が使えなくなり、新しいお金に切り替わる(新円切替)
  • お金の価値が一気に何分の1にもなる
  • 現金がなくなり、国が管理するデジタル通貨だけになる
  • 12月にはATMや銀行でお金がおろせなくなる
  • 富士山の噴火や大地震が、その合図になる

このうち預金封鎖と新円切替は、日本で一度、実際に起きています。

戦争が終わった翌年の1946年2月、国は激しいインフレを抑えるために、銀行の預金を自由に引き出せなくし、それまでのお札を新しいお札に切り替えました。

このとき預金から引き出せたのは、1か月に決められた額まで。

昭和20年代の銀行の窓口。木のカウンターに古い紙幣の束と通帳が置かれ、窓口にはカーテンが下りている

 

「一度やったのだから、またやるのでは」という不安には、ちゃんと根っこがあるということ。

さらに2024年7月には、20年ぶりにお札のデザインが新しくなりました。

このときも「旧札が使えなくなる」という噂が出ましたが、前のお札もそのまま使えます。

 

現金がなくなってデジタル通貨だけになる、という不安を、AIの暴走と結びつけて語る人もいます。

デジタルのお金といえば、口座のお金そのものが狙われる被害は、すでに現実のもの。

2025年には証券口座が乗っ取られて勝手に株を売買される被害が相次ぎ、1〜6月だけで不正な売買は約5,710億円にのぼったと報じられています。

知らないうちに口座のお金を動かされてしまうのは、もう噂の中だけの話ではありません。

とはいえ、「国が預金を止める」「11月2日に通貨が切り替わる」「12月にATMが止まる」という発表は、政府からも日本銀行からも出ていません。

お金の噂の比較。本当にあったことは1946年の預金封鎖、2024年の新しいお札、2025年の口座の乗っ取り。確かめられなかったことは11月2日の預金封鎖、通貨の切り替え、富士山の噴火

 

 

ただ厄介なのは、日付が外れても、噂そのものは消えないこと。

1954年のアメリカで、「12月21日に大洪水が来て世界が終わる」と信じた小さなグループがありました。

その日、何も起きなかったあと、中心にいた人たちは信じるのをやめるどころか、「自分たちが祈ったから世界が救われた」と、前よりも熱心に周りへ広め始めたといいます。

この様子を記録したのは、信者のふりをしてグループに入り込んだ心理学者たち。

1956年には、1冊の本にまとめられています。

この本は〈予言が外れると、かえって信じる気持ちが強くなる〉例として長く引かれてきましたが、近年は、残された資料と食い違うという反論も出ています。

それでも、日付が外れたあとに「次の日付」が出てくる噂が、いまも何度もくり返されているのは確かです。

海外で流れるグレートリセット説

グレートリセットの噂は、日本よりも先に海外で大きくなりました。

イギリスの研究機関ISD(戦略対話研究所)の調べでは、WEFが構想を打ち出した4日後には、もう「一部の人たちが世界をまとめて支配する仕組み(新世界秩序)づくりだ」と訴える動画が投稿されていたといいます。

海外で言われているグレートリセットの説には、たとえば次のようなものがあります。

  • 世界経済をわざと崩壊させ、そのあとに一部の人が支配する新しい仕組みを作る
  • コロナもロックダウンも、世界のエリートが計画して起こした
  • 「2030年、あなたは何も所有せず、幸せになる」が本当の狙い
  • 買い物も移動も、徒歩15分の範囲に閉じ込められる「15分都市」にされる(本来は、歩いて15分ほどで暮らしがまかなえる街づくりの考え方)
  • 現金をなくし、国が使い道まで見張れるデジタル通貨へ移される
  • 肉の代わりに虫を食べさせられる

中でもいちばん有名なのが、「何も所有せず、幸せになる」。

この言葉がWEFから出たのは本当です。

2016年、WEFは「2030年の世界はこうなるかもしれない」という8つの予想を短い動画にまとめていて、その1つ目に置かれていたのがこの一文。

もとになったのは、デンマークの政治家が書いた「2030年の私の街」を想像したエッセイで、車も家電も持たず、必要なときに借りて暮らす1日が描かれています。

書いた本人はのちに、これは理想の未来ではなく、良くも悪くもこうなりうるという1つの筋書きだと説明しています。

海外のファクトチェック団体も、「WEFが2030年までに全員の財産を取り上げる目標を掲げている」という話は誤りだと判定しました。

 

それでもこの説は、コロナ対策や政府に反発する人たちのあいだで語られながら、各国へ広がっていきました。

夜の部屋の机で光るスマホから、空っぽの吹き出しがいくつも浮かび、窓の外の世界の夜景へ広がっていく

 

この説がなかなか消えないのは、噂の中に、本当にあった出来事がところどころ混ざっているからです。

たとえば、コロナが広がる2か月ほど前の2019年10月、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学は、WEFや、マイクロソフトを創業したビル・ゲイツ氏の財団と一緒に「イベント201」という感染症の訓練を開いています。

新しいコロナウイルスが世界に広がったらどうするかを、机の上で話し合う演習。

訓練そのものは本当にあったので、「やっぱり前から知っていた」と言い出す人が出てくるわけです。

ただ、主催した大学は、使ったのは架空のウイルスで、今回のコロナを予測したものではないと説明しています。

 

噂を大きくするきっかけになったのが、シュワブ氏本人が口にした言葉。

2017年、シュワブ氏はアメリカのハーバード大学の講演で、WEFが選んで育てている40歳未満の若い指導者たちの話をしています。

カナダのトルドー首相(当時)の閣僚の半分ほどがその仲間だと紹介し、「私たちは各国の内閣に入り込んでいる」という意味の言葉を口にしました。

ただ、そこから「WEFが各国の政府を裏で操っている」とまで言えるかは、また別の話。

それを示す材料は、いまのところ出ていません。

 

虫を食べさせられる、という説のもとになった話にも、本当にあった記事があります。

WEFのサイトには、2050年の食料不足に備えて昆虫を食べ物に使う話を取り上げた記事が、実際に載っています。

そこへ、WEFが「虫を食べたくないのは差別だ」と投稿したという画像が出回りましたが、WEFはロイター通信に、本物の投稿ではないと答えています。

本当にあった一言や記事に、あとから誰かが都合のいい続きを書き足していく。

 

そのグレートリセットを掲げたシュワブ氏本人は、2025年4月、88歳を迎えることを理由にWEFの会長を退きました。

その翌日、WEFは経費の使い方などをめぐる内部からの告発をもとに、シュワブ氏の調査を始めています。

同じ年の8月、WEFの理事会は「重大な不正の証拠は見つからなかった」と発表しています。

本人が表舞台を降りたあとも、グレートリセットという言葉だけは、いまも噂の中で「これから来るもの」として語られ続けているのが現実です。

通帳の数字が信じられなくなる日

海外の説も日本の噂も、ここまではどれも「誰かが裏で計画している」という話でした。

ところが今いちばん現実味をもって語られている怖い説は、誰の計画もいらないのが特徴です。

2026年4月12日、ハッカーを名乗る人がXに「AIが100%成功するハッキングを手にしたら、何が終わるのか」という長い投稿をして、460万回以上も表示されました。

その人の答えは、「いまのお金の仕組みの前提そのもの」。

 

どういうことか、少しかみくだいてみますね。

私たちが銀行に預けたお金は、金庫の中に札束で眠っているわけではありません。

ほとんどは、銀行のコンピューターに書かれた「数字」。

給料の振り込みも、カードの支払いも、家の持ち主の登記も、株の持ち主も、全部「この記録は正しい」という前提で動いています。

会ったこともない銀行に給料を預けられるのも、顔を知らない相手からネットで物を買えるのも、記録を信じられるからなんですよね。

 

では、ある朝、銀行のアプリを開くと残高はいつもどおりなのに、銀行の人から「その数字が本物かどうか、うちでも確かめられないんです」と言われたらどうなるか。

盗まれたのなら、どこへ流れたかを追いかけられます。

でも、どの記録が本物か分からなくなると、誰も「ここから払う」と決められません。

お金は1円も消えていないのに、使えなくなる。

株の暴落や不景気なら、世の中はこれまで何度も乗り越えてきました。

この説が怖いのは、経済が「損をする」のではなく、何が本物か分からなくて「計算できなくなる」と言っているところです。

通帳の数字が信じられなくなる説の図。いまは残高や契約の記録を信じてお金が回っている。記録が本物か分からなくなると、お金は消えていないのに払えなくなる

 

「さすがに大げさでは」と思いますよね。

ただ、あの投稿が出る5日前には、本当にこんな出来事がありました。

2026年4月7日、アメリカのAI企業アンソロピックが、新しいAI「Claude Mythos(クロード・ミトス)」を発表しながら、一般の人には使わせないと決めました。

パソコンやスマホの土台になるソフトや、ネットを見るためのソフトから、長いあいだ誰も気づかなかった重大な弱点を数千件も見つけてしまったからです。

中には、27年間も見つからなかった欠陥まであったそうです。

悪い人の手に渡れば大変なことになるので、まず渡す先は、アップルやマイクロソフト、アメリカの大手銀行など、穴をふさぐ側の企業だけ。

 

日本の金融の世界も、すぐに動き出しています。

4月24日には金融庁に、片山さつき金融担当大臣、日本銀行の植田和男総裁、三大メガバンクの頭取たちが集まって、AIのサイバー攻撃にどう備えるかを話し合う会議が開かれました。

報道によると、片山大臣は金融について、サイバー攻撃がすぐに市場への影響や信用不安にまで広がりかねないと話したそうです。

お金を守る側のトップ自身が、「信用」という言葉を口にしていたことになります。

アメリカでも、財務省とFRB(日本銀行にあたる中央銀行)が大手銀行のトップを集め、守りを固めるよう求めたと報じられています。

 

しかも日本では、システムが止まって仕事が止まる出来事が、すでに何度も起きています。

  • 2023年7月 名古屋港のコンテナターミナルがランサムウェア(データを使えなくして身代金を求めるウイルス)に感染し、約3日間、コンテナの出し入れが止まる
  • 2025年9月 アサヒグループがランサムウェアの攻撃を受け、国内の注文と出荷のシステムが止まる

アサヒでは工場が動き出したあとも、しばらくはファックスと手作業で注文を受けていました。

最新のシステムが止まった日に、最後に頼ったのは紙とファックスだったんです。

どちらも、記録が使えなくなっただけで、ふだんの仕事が回らなくなった話です。

 

一方で、「前提が極端すぎる」という反論もあります。

AIを使えるのは、攻める側だけでなく守る側も同じ。

セキュリティの専門家からは、ミトスの「怖さが大きく見られすぎている」という声も出ています。

データを読めなくして守る暗号の技術や、取引の記録をあとから照らし合わせて確かめる仕組みまで、すべてが一度に使えなくなる根拠もありません。

「100%成功するハッキング」は、あくまでもしもの話です。

 

それでもこの説が多くの人に刺さったのは、記録が信じてもらえない怖さを、すでに知っている人がいるからかもしれません。

あの投稿への返信には、事情があって銀行口座を持てなくなった人が、本人なのに記録がないだけで信用されなかったと書いたものもありました。

社会はいつの間にか、目の前の人より、画面の記録のほうを信じるようになっていたんですよね。

グレートリセット後の勝ち組は誰か

グレートリセットの噂には、怖がる人だけでなく「リセットのあとの勝ち組になりたい」と待ちわびる人もいます。

今の仕組みがひっくり返れば、借金も格差もチャラになり、先に準備していた人だけが得をする、という夢のある話です。

海外ではこの勝ち組の話が、「世界の通貨が一斉に作り直され、ある国のお札の価値が何百倍にもなる」という話にまで膨らんでいます。

よく名前が挙がるのが、イラクのディナールやベトナムのドンといった、戦争や混乱で価値が大きく下がった国のお札。

「EBS」は、アメリカで非常時に流れる緊急放送のこと。

その放送が流れたら新しいお金の仕組みに切り替わり、借金が帳消しになる、という筋書き。

ところが、その放送が流れる日は何年も前から「もうすぐ」と言われ続け、そのたびに先へ延びてきました。

日本でも、同じような儲け話で被害が出たことがあります。

国の消費者トラブルの相談窓口である国民生活センターは2010年、イラクのディナールを買うよう持ちかけられるトラブルが、その年の3月から相次いでいると注意を呼びかけました。

センターによると、「必ず値上がりする」「あとで高く買い取る」と言って買わせるのに、ディナールは国内の銀行ではほとんど扱われておらず、円に戻すこと自体がとても難しいお札だそうです。

 

 

こんな冷めた見方もあります。

では、本物の大富豪はリセットをどう見ているのか。

2017年、アメリカの雑誌ニューヨーカーは、シリコンバレーの億万長者たちが世の中の崩壊に備えて、ニュージーランドに土地を買ったり、隠れ家を用意したりしていると報じました。

記事の中で、ビジネス向けSNSのLinkedInを作った投資家のリード・ホフマン氏は、仲間の億万長者の半分以上が何らかの〈終末への保険〉を持っているのでは、という推測を口にしています。

2023年には、Facebookを作ったマーク・ザッカーバーグ氏がハワイの土地に、約460平方メートルの地下シェルターを計画していると報じられました。

本人はのちに「ちょっとしたシェルターで、地下室のようなもの」と話し、ハリケーンに備えたものだと説明しています。

 

大富豪たちの本音がのぞくのは、アメリカのメディア学者ダグラス・ラシュコフ氏が、2022年の著書で明かした話。

講演に呼ばれて砂漠のリゾートへ行くと、待っていたのは5人の大富豪で、聞かれたのは「〈その時〉が来たあと、自分を守る警備員たちをどうやって従わせ続ければいいか」でした。

お金が紙くずになったら、警備員に何で給料を払うのか。

警備員たちが自分たちでリーダーを選び始めたら、どう止めるのか。

少なくともラシュコフ氏が会った大富豪たちは、リセットのあとに勝ち残ることより、お金が効かなくなった世界で自分の身を守れるかどうかを心配していました。

 

通帳の数字が信じられなくなる説では、そんな世界で価値が上がるのは、土地や食べ物、水、電気、そして顔を知っている人どうしの信用だといいます。

4月のハッカーの投稿への返信にも、「タンス預金最強ってこと?」「本物の金(ゴールド)や田畑を持つとか」という声が並んでいました。

ただ、家に置いたお金は、盗まれたり燃えたりすれば戻ってきません。

かといって、全部を銀行の記録に預けきりにしておくのも、少し落ち着かないですよね。

停電の日に慌てない現金と書類の置き場所

噂がどうであれ、いざというときに家で困ることは、あまり変わりません。

大きな地震でも、サイバー攻撃でも、まず止まりやすいのは電気と通信、そしてお店での支払い。

2018年9月の北海道の地震では道内の全域が停電し、カードやスマホの支払いが使えず、現金がないと買い物ができない店もありました。

停電が3日続いたら家の中で何が困るのか、サイバー攻撃で本当に電気が止まった海外の例とあわせて、こちらで確かめられます。

慌てて預金を全部引き出すよりも、停電の数日をしのげるくらいの現金を、千円札と小銭で分けて置いておくほうが、ずっと役に立ちます。

水と駄菓子、いい線いってます(笑)。

そこにもう1つ、現金と、通帳や保険証のコピーの置き場所を決めておくと、いざというときに慌てずに済みます。

封筒やチャック付きの袋なら、100円ショップでいつもの買い物ついでにそろいます。

そのうえで、家族みんなが場所を覚えやすく、持ち出しやすい入れ物がほしい方には、こんなものがあります。

鍵をなくさないダイヤル式の手提げ金庫

封筒はつい別の引き出しへ移したりして、いざというときに場所が分からなくなりがちです。

この手提げ金庫は数字を合わせて開けるダイヤル式なので、鍵をなくして開かなくなる心配がありません。

A6とB5の2つの大きさから選べて、小さいA6なら本棚のすき間にも置けます。

中には取り外せるトレーがあって、上の段に小銭、下の段に千円札や通帳と分けておけます。

取っ手つきなので、いざというときにそのまま持って出られるのもうれしいところ。

 

 

 

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通帳と保険証を守る耐火バッグ

現金のほかに、まとめておきたいのが通帳、保険証やマイナンバーカードのコピー、家の契約書といった大事な書類です。

この耐火バッグは、ガラス繊維を重ねた燃えにくい素材でできた書類袋です。

大きさはS・M・Lの3つで、Lなら A4の書類も折らずに入ります。

1,500円ほどで、いくつかの大きさを組み合わせて選べるので、書類用と通帳用で分けておくのもアリです。

口は防水のファスナーなので、火事だけでなく、水害で書類が濡れるのが心配な方にも向いていますね。

 

 

噂の正体を自分で確かめる2冊

グレートリセットの話は、誰かが切り取った一文や、誰かのまとめで広がっていくことがほとんどです。

本当は何が書かれていたのかを、自分の目で確かめてみたい人もいますよね。

よく分からないまま、とりあえず読んでみたくなる気持ちも分かります。

どうせ読むなら、噂のもとになった本と、噂がなぜ広がるのかを調べた本を、セットで読むのがおすすめです。

シュワブ氏が書いた原典『グレート・リセット』

2020年にシュワブ氏らが出した本の日本語版です。

副題は「ダボス会議で語られるアフターコロナの世界」。

噂で語られる「世界支配の計画書」なのか、コロナ後の経済への提言なのか、ページをめくれば判断できます。

どこを切り取れば怖い話に見えるのかが分かるのも、原典ならではのおもしろさ。

 

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信じる仕組みが分かる新書『陰謀論』

政治学者の秦正樹氏が、どんな人がどんなときに陰謀論を信じやすくなるのかを、調査のデータをもとに書いた中公新書です。

読んでいると、特別な人だけでなく、ふつうの人でも条件がそろえば引き込まれていくんだな、と分かってきます。

噂を頭ごなしに否定する本ではないので、グレートリセットの話にわくわくしている人ほど、楽しみながら読めると思います。

1,000円しないので、原典と一緒に手に取りやすい1冊です。

 

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楽天市場での価格とレビューの数を表に並べてみると、こうなります。

商品 価格 レビュー(件数と評価)
ダイヤル式の手提げ金庫 1,980円 382件(4.64)
耐火バッグ 1,490円 88件(4.52)
グレート・リセット 2,200円 5件(4.0)
陰謀論(中公新書) 946円 1件(5.0)

4つとも送料は無料なので、いちばん気になる1つから手元に置いてみてください。

グレートリセットは本当に来るのか

では、グレートリセットは本当に来るのか。

WEFが掲げたグレート・リセットは、具体的な計画を持たないまま、言い出したシュワブ氏も会長を退いた構想です。

11月2日にお金の仕組みがひっくり返る、という話にも、いまのところ裏付けはありません。

それでもこの噂がここまで広がったのは、口座の乗っ取りや会社のシステムが止まる出来事を見て、通帳の数字や画面の記録を、いつまで当たり前に信じていられるのかと、どこかで感じている人がいるからだと思います。

その怖さにつけ込んで「勝ち組になれる」と外国のお札や儲け話を売りに来る人には、くれぐれも気をつけたいところ。

もし本当のグレートリセットが来るとしたら、それはカレンダーに書かれた日ではなく、みんなが記録を信じられなくなった日なのかもしれませんね。